2018年5月18日

人事コラム

第1回「内的キャリアを見つめる」
今回からキャリアのコラムがスタートします。 人事のみなさんが社員の方々のキャリアを支援する場合、そしてみなさんご自身のキャリアを考えるうえでも役に立つ、組織内キャリアを考えていくための理論をわかりやすくお届けいたします。

キャリア理論とは

理論は現実を体系化、一般化させたものです。そのため、再現性があり、応用することができます。理論から枠組み、考え方を理解して、キャリアで悩んでいる人を理解することに活用していけるのです。さらに、今後のキャリア設計のフレームワークとして使用することも可能です。理論に苦手意識を持つ人が多いですが、実はキャリア理論は社会の中で、職場で起こっている課題に対するものが多く、イメージしやすく理解が容易なのです。

内的キャリアの重要性

キャリアは、外的キャリアと内的キャリアという2つの軸から捉えることができます。たとえば、「どこに勤めている」「どんな立場」「どんな仕事」など職業、職位、資格、年収など客観的な側面と、「働くことに対する考え方」「生き方」「価値観」「仕事に求める意義」などの主観的な側面に整理することができます。この客観的な側面を外的キャリア、主観的な側面を内的キャリアと言います。一般的に「キャリア」に対しては、外的キャリアをイメージされる方が多いと思います。しかし、この内的キャリアが外的キャリアに影響を与えることが多いので、自分の内的キャリアを見つめることが重要になってきます。

同じ職場で同じ仕事をしているAさんとBさん

Aさんは「この仕事はとても自分に合っていて、毎日が楽しい」と感じており、Bさんは「なぜ私がこんな仕事をしなければならないのだ」と感じていたとします。嫌々仕事をしているBさんは転職を考えるかもしれませんし、そのような姿勢で仕事している人に周囲もあまり期待しない可能性があります。反対に日々楽しそうに仕事に向き合っているAさんには、周囲も期待してどんどん仕事を任せていくかもしれません。このように、内的キャリアは外的キャリアに直接的・間接的に影響を与えていくのです。

自分のモチベーションの源泉を知る

内的キャリアに注目することは、生きがいや働きがいといった自分のモチベーションの源泉を知ることです。「なぜその仕事がしたいのか」「その仕事のどこが楽しいのか」「何にやりがいを感じるのか」「何を大切にしたいからその仕事をするのか」と内省していくことで気づきが得られます。私は研修などで、今までの経験を振り返ってもらうために「宝物探しシート」を使って、上記のような内的キャリアを見つめてもらうようにしています。内的キャリアを理解することは、自分らしさを実現、実感するための手がかりを得ることにも繋がります。今までの経験を振り返り、ご自身がどのように経験を積み、役割を担ってきたのか、その中でどのような価値観や思いを培ってきたかを是非一度整理してみていただきたいと思います。

石川邦子(いしかわ・くにこ)
Natural Will代表。 キャリアコンサルタント、シニア産業カウンセラー、1級キャリアコンサルティング技能士、 メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種、英国IFA認定アロマセラピスト。 著書に『ダメな上司は耳で聞く』(現代書林)、『自分らしく生きる! 40代からはじめるキャリアのつくり方』(方丈社)がある。