2018年6月1日

人事コラム

第2回「キャリア・アンカー」

「30代はキャリア・アンカーを見極める時期」

キャリア・アンカーとは自らのキャリアを選択する際に、最も大切な価値観や欲求のことです。船の“錨”(アンカー)のように、職業人生の舵取りで拠り所となるものだと言われています。働くうえでの「自分らしさ(セルフイメージ)」がどのようなものかを見極めるためには「何をしたいか」ではなく「どのようにしたいか」を問うことが大切です。たとえば、「自律と独立」は、裁量の高い環境、自分でコントロールできる働き方を大切にしていきたいということです。そのためには、様々な経験を積みながら試行錯誤の結果10年ぐらいをかけて形成されると言われています。30代の社員には一度キャリア・アンカーについて見極めてもらう機会を提供してはいかがでしょう。

キャリア・アンカーの8つを見てみましょう。

1.専門・職能別コンピタンス
専門性を発揮できる分野で仕事ができることを大切にします。
2.全般管理コンピタンス
経営管理そのものに関心を持ち、責任ある立場に立って、リーダーシップを発揮し、組織の成功に貢献することを大切にします。
3.保障・安定
なにより安定しており、将来がある程度予測でき、ゆったりとした気持ちで働けるように、ある程度生活が保障されていることを大切にします。
4.起業家的創造性
新しい製品、新しいサービス、新しい事業を開発していけることを大切にします。
5.自律と独立
前述したように組織のルールや規則に縛られず、自分のやり方、自分のペース、自分の納得する仕事をしていけることを大切にします。
6.奉仕・社会貢献
何らかの形で世の中を良くしたいという価値観を重視して、貢献できることを大切にします。
7.純粋なチャレンジ
困難な問題に挑戦していくことを望み、変化に富んだキャリアを持つことを大切にします。
8.生活様式
仕事の時間と私的な時間のどちらも大切にしたいと願い、両者の適切なバランスを考えていけることを大切にします。

キャリア・アンカーを満たせるために可能性を広げる

自己イメージが明確になることで、自分の「軸」がはっきりしてきます。次に自分が大切にしたいアンカーを満たせるように、自分のCan(できること)とWill(したいこと)を広げていき、Must(組織からの期待)にどう合わせていくかを考えていくことが大事です。そのためには、定期的に職務と役割の棚卸しをして、環境の変化とその影響や、職務をまっとうするための要件を見直すなどのチェックをしていきましょう。
自分のアンカーが明確になり、組織の状況を客観的に捉えることができれば、個人のニーズと組織のニーズをうまくブレンドしていく方策を考えていけます。たとえば、今の仕事を再構成したり、取り組み方を変えたり、時には他の部署で実現できないかなど、組織内でキャリア・アンカーを満たす可能性を模索していくためのキャリアプランを考えていく支援が必要になってきます。

石川邦子(いしかわ・くにこ)
Natural Will代表。 キャリアコンサルタント、シニア産業カウンセラー、1級キャリアコンサルティング技能士、 メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種、英国IFA認定アロマセラピスト。 著書に『ダメな上司は耳で聞く』(現代書林)、『自分らしく生きる! 40代からはじめるキャリアのつくり方』(方丈社)がある。