2018年9月26日

人事コラム

第6回「モチベーションの鍵は成長している実感」

モチベーションを高めるのは誰か

先日ある企業の管理職から「最近の若い人は、モチベーションが上がらないのでなんとかしてくださいと言ってくるが、モチベーションなんて自分で上げるものだろう。人に上げてもらおうなんて甘えている」というご意見をいただきました。モチベーションを高めるのは誰なのでしょう。上司の責任でしょうか、部下自身の責任でしょうか。私は、上司には部下のモチベーションをマネジメントする役割があると考えています。だからと言って、すべて上司任せにしていては自分の可能性を伸ばすことはできません。ですから、部下自身も、モチベーションをセルフコントロールするスキルを身につける必要があると考えます。

自分を知ることからセルフコントロールは始まる

 みなさんは、自分のモチベーションがどんなときに上がるのか、または下がるのかご存知ですか。自分のモチベーションに影響を与えているものは何かを知ることができれば、セルフコントロールもできるようになります。ライフラインチャートと言って、主観的な満足度を縦軸に、年齢を横軸に設定します(図参照)。そこに、今までの自分の歩いてきた経験、出来事を思い出しながらどんなときにモチベーションが上がって、どんなときに下がったのかを、曲線のグラフで書き込んでいきます。モチベーションのアップダウンを、バイオリズムのように、線で引いてみてください。曲線が下降するときの出来事や、上昇するときの出来事が自分自身のモチベーションに影響を与えていることがわかります。たとえば、新しい経験のときに上昇する人と下降する人がいます。前者は好奇心旺盛で新しいチャレンジを好む人、後者は安定的な環境を好む人となり、自分がどのような傾向があるのかを知ることが大切なのです。

肯定的表現で自分のWillを伝える

 以前お伝えしたキャリアアンカーや内的キャリアなど自分自身のモチベーションに影響を与える要因などを理解することで、楽しくやりがいをもって取り組むための工夫をしていくことが大事です。そのためには、自分のWillを周囲に理解してもらうことです。たとえば、管理職を目指す、目指さないは本人の自由です。ただ、管理職になりたくないと公言するのは避けた方がよいでしょう。そういう発言を繰り返すと、会社や上司から「やる気のない人」と見られます。あなたが、スペシャリスト志向ならば、「管理職になりたくない」ではなく「スペシャリストを目指します」と公言し、自分を磨いていくのが得策です。

部下のモチベーションを高める上司の役割

 また、冒頭に書きましたように上司にも部下のモチベーションをマネジメントする役割があります。多くの人は成長を実感できたときにモチベーションが高まります。上司の役割で最も重要なのが部下育成です。日々仕事を配分して目標を達成していくだけでなく、その日々の業務を通じで部下を育てていく。そのためには、仕事を任せるときに動機づけをおこなうこと、仕事が終わったときによくできたことと、さらに頑張ってほしい期待などをフィードバックすることをおろそかにしてはいけません。キャリアコンサルティングをしていると、生き生きと前向きな方の上司は、この動機づけとフィードバックをされていることが多いのです。フィードバックによって、成長を実感できモチベーションを高めることができるのです。

石川邦子(いしかわ・くにこ)
Natural Will代表。 キャリアコンサルタント、シニア産業カウンセラー、1級キャリアコンサルティング技能士、 メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種、英国IFA認定アロマセラピスト。 著書に『ダメな上司は耳で聞く』(現代書林)、『自分らしく生きる! 40代からはじめるキャリアのつくり方』(方丈社)がある。