パワハラ・ロックオンに注意する その2

VOL.9

 

〈パワハラ・ロックオンを解除する(上司の視点)〉

 

 

ロックオンという状態は、無意識に起こっています。

ロックオンを解除するためには、それを意識化して、

自分で取り外すしかありません。

 

無意識で起こっていることを意識化するには、

「指導が特定の部下に偏っている」といった行動の変化、

「特定の部下に対してイライラする」といった感情の変化を

見逃さないことがポイントです。

 

ロックオンに気づいたら、1人の部下に集中していた注意力を、

もう一度分散し、感情と行動をニュートラルモードに切り替える必要があります。

それには、部下に対して行っている評価や判断を一度ゼロベースで見直して、

その部下の長所やプラス面に着目したり、ほかの部下との

共通点を探してみるのもいいかもしれません。

 

ただ、ネガティブな評価を下した部下のよい面を見るというのは、

なかなか難しいものがあります。

その場合、第三者、周囲の人に、その部下の長所やプラス面を

聞くことをお勧めします。

 

 

 

〈パワハラ・ロックオンを回避する(部下の視点)〉

 

上司がロックオンを自ら解除するための方法を述べましたが、

これを逆の側面から見てみましょう。

 

部下の立場としては、上司のロックオンを避けることができれば、

あるいはいったんロックオン状態に入ったとしても、

そこから抜け出す方法論を持っていれば、

パワハラを受けるリスクを回避できることになります。

 

まずは、職場でロックオンされている人がいるということは、

ロックオンされていない人がいるという事実を認識することが大切です。

ロックオンされる人とロックオンされない人は、

「行動」に違いがあります。

 

一般社員対象のパワハラ防止研修では、

まずは自分にパワハラを受けるリスクがどれほどあるのか、

行動のチェックシートで確認することから始めます。

そして、行動をどのように変えればいいか丁寧に解説します。

 

「なぜ、被害者が行動を変える必要があるのか?」と

疑問に感じる人もいるでしょう。

「行為者が悪いのだから反省してパワハラをしないように気をつけるべきだ」

という正しい意見を否定するつもりはありません。

 

しかし、パワハラは関係性のなかで起こる問題です。

 

「行為者に注意を促すだけではパワハラをなくすことができない」

という現実への対策も重要であることをお伝えしたいのです。

自分が困っているとき、他人や環境といった外的要因に

問題があると認識するよりも、自分の「能力・態度・行動」と

いった内的要因を振り返る習慣を持つことが問題への対処力を高めます。

 

 

2022/6/10