雑談のすすめ

Vol.1
~コロナ禍で生まれた「リモートネイティブ世代」とどう向き合うべきか~

 

 

セカンドキャリアとしてカウンセラーに転身した元人事部長が、人生、キャリア、コミュニケーション、メンタルヘルスなどからの気付きを書き留めていきます。

 

皆さま、はじめまして。ウェルリンク所属心理カウンセラーの
心澤爽太郎(こころざわ そうたろう) と申します。

 

最初ですので、簡単に自己紹介をさせてください。

 

私、転勤により福岡、大阪に移住した以外は横浜で長く住み暮らしております。

 

いわゆる浜っ子は、「神奈川県出身と言わない」とか「横浜市歌をみんな歌える」など色々と言われていますが(私も確かに言わないし、歌えます)、それほどにはこだわりが無くて、遊びまわった九州や関西などそれぞれの個性的な土地柄と食べ物が大好きです。

 

仕事に関しては、新卒入社以来9割くらいは総務、人事、労務などの部門に就いていました。いわゆる【人事屋】ってやつですね。

 

30数年人事部門を経験した今、言えることは「十人十色、いろんな人がいるもんだな~」に尽きると思います。

 

人事部門の役割を離れてセカンドキャリを歩む現在、浅学ではありますが心理学やキャリア理論を学んで改めて感じること、思うことを書き留めていきますので、皆さまお忙しい中、気分転換したいときにでもお読みいただければ嬉しいです。

 

 

 

記念すべき第1回目は【雑談のすすめ】です。

 

 

先日、ある企業の人事の方がこんな話をしていました。

 

「今年はともかく、昨年(2020年)4月入社の『リモートネイティブ世代』は、本当にかわいそうでしたよ。一生に一度の社会人デビューなのに会社にすらいけないのですからね。私なんか入社式初日から同期と飲みにいって、社会人になった気分を満喫していましたから、それに比べたら気の毒だなぁって」

 

うう~ん、確かに! 激しく同感。(特に初日から飲みにいったところが)

 

続けて、話して下さったのは・・・

 

「人と人とが直接的に会わない状況での研修でも、何年か会社で仕事をしている人はオンライン研修も問題無く受けられるんですが、初めて受ける新入社員研修が全部オンラインでは、休憩時間で緊張を解く時間なのに、同期と気楽におしゃべりすることもできないので、オンもオフも無くて気の毒ですよ。彼らはもう慣れっこなのかもしれませんがね。」

 

 

しかし、この話だけでなく、最近よく思うんです。会社での「雑談」って大事だなって。

リモートワークだと家族としか話さない。オンラインミーティングでも当然仕事のことしか話さない。

 

家族がいなかったらどうなるんだろうと・・・私は想像もできませんが、それはそれで気楽っていう人もいるのでしょうか。

 

 

 

<雑談の意味>

雑談がビジネスの場において重要な役割を果たしていることはよく知られています。

メリットとして、アイデアを得たり問題解決につながることがあるからです。

 

様々な報告書によれば、雑談でリラックスしたことにより幸福度が上がり、生産性が向上したことが明らかになっています。

 

私自身も仕事をする上で大切なことは、研修で教わったことよりも、上司、先輩との雑談の場で得られたことの方がはるかに多いですね。

 

雑談は苦手という人でも、周囲が雑談していることに耳を傾けていることからも自然と学んでいる訳で、それもたいへん意味のあることだと思います。

 

仕事に直接関係なくても、漏れ聞こえてくる会話から「○○さんはこんなところが素敵だよね」とか「□□さんはネットフリックスのドラマにはまってるんだって」というように、上司や同僚の人となりを知ることができます。

 

リモートワーク中の社員と上司が1on1ミーティングを行っている会社は多くあるのですが、それでも他人の雑談を耳にすることはありません。これがリモートワークの一番の難点なのかなと思います。

 

 

<不安感と孤独感>

ここ何年かの新入社員に、研修時「現在の心境を漢字で表すと?」と質問すると、7割くらいの人が「不安」と書くので、こちらの方がよっぽど「この子たち大丈夫かな」と不安に感じたものです。

 

「なんでまだ何も始まってないのに不安なの???」と。

 

そんな昨年の「不安さん」たちが、上司や同僚と顔を合わせないままに社会人生活をスタートさせてしまいましたが、問題はその職場環境です。

 

最近は多くの若手社員がワンルームタイプの借り上げ社宅等で生活していますが、コンサル面談などでライフスタイルの状況を聞くと、何人かは「テレワークで仕方ないのですが、狭い部屋で一日中仕事をしていると本当に気が滅入ります」と話しています。

 

特にリモートネイティブ世代は社会人のスタートからテレワークが続いているので、人事部門がよほど工夫してケアしないと、毎日の生活の中で不安感が蓄積していく心配がありますね。

 

また、人がやりきれなくてつらく感じることのひとつに「孤独感」があると思います。

 

新入社員の漠然とした不安感は、例年ですとがむしゃらに仕事をしているうちに和らいでいくのが一般的ですが、人と直接会わない職場環境では余計なことを考えがちになり、「自分がイメージしていた仕事や生活と違う」と感じ始めると、同期入社者と自分を比べていく中で孤独感を深めていくことが多いようです。

 

物理的に誰かがそばに居るとか、居ないとかいうこととは違う「助けて欲しいくらいのさびしさ」は、続いていくと確実に心の健康をむしばみます。

 

それは間違いなく「助け」が必要な状況です。

 

 

コロナ禍が終息して日常が訪れても、リモートネイティブ世代に対しては、「アンラッキーだった君たちのことを会社は心配しているよ!雑談でも良いから周囲とのコミュニケーションを心掛けてね!」というメッセージが届くと良いですね。

 

「心配してくれている人がいる」「会社から大切にされている」と思えれば、そこにあった孤独感は薄らいでいくのではないでしょうか。

 

 

【最後までお読みいただき、ありがとうございました】

 

 

 

2021/07/07