いたわり・ねぎらいの大切さ

Vol.2
~心理的な評価とは~

 

何を隠そう、私は若い頃から竹内まりやの大ファンです。

彼女の代表作「いのちの歌」は、歌詞をフルで覚えているほどでして、特にサビの「本当にだいじなものは 隠れてみえない」の部分・・・飲んで歌うと涙腺が緩みます。

 

彼女から生み出された曲は、毎日ごく普通に暮らす人々の生活の中で生まれるふとした感情に寄り添ってくれていて、聴いているだけで何となくホッとする、そんなところにとても惹かれます。

 

 

さてさて、それはさておき。今回は「評価」に関係する話をさせてください。

「いたわり」「ねぎらい」の大切さをお伝えしたいと思います。

 

人事の仕事をしていた時は、毎年行う「人事評価」とは切っても切れず、制度の設計、運用を通じ、社員の業績、行動、能力をどうやって評価するかを年がら年中考えていました。

 

言うまでも無く人事評価は、従業員のパフォーマンスや働きぶりを査定し、報酬制度や等級制度に反映させる組織行動ですが、働く人をポジティブにするためには、評価の際に「いたわる」「ねぎらう」ということを大切にする心理的な側面を忘れないでいただきたいと思います。

 

私はこれらを忘れないように「イタ・ネギ」として覚え、評価者研修などで部下への接し方で「常に忘れないでくださいね~」と繰り返しお伝えしています。

 

心がけるようになったきっかけは、管理者にこのイタ・ネギさえもう少しあれば、この程度のコミュニケーショントラブルは起こらなかったのになと思うことがしばしばあったからです。

 

 

<現場で働く人々の気持ち>

前職はメーカーで勤務していましたので、人事の仕事で地方の工場にも出向くことがよくありました。

ある工場の現場で働く年配の女性パートタイマーから苦情があり、その方へのインタビューで印象に残ったことがあります。

 

「(涙ぐみながら)私たちはパートとして働いていますが、正社員とほとんど同じ仕事をしているのですよ。なのにうちの課長さんは正社員には結構気を遣うけど、私たちパートには何の声もかけてくれません」

「この前だって、夜勤のシフトが直前になって変更になった時、何の説明も無くシフト表が配られて・・・ 『こんな急に言われても困ります』と言ったら、『本社が急に言ってきたらしいよ』って他人事みたいに・・・そんなこと私ら知らないですよ」

(だよねぇ・・・)

 

「工場のみんなで頑張りたいし、『夜勤は本当にたいへんだよね。いつもありがとう。実は本社から急な納期変更の依頼が来てしまって・・・本当に申し訳ないけど何とか協力してくれれば本当に助かるんだけど』なんて言う風に言われたら、私らバカだから『任せて!』なんて言ってほいほいやるのに。だいたい日頃から私たちのことをいたわってくれる気持ちなんて全然無いんですよ」

(こんなことまで言ってくれているのに。申し訳ないなぁ・・・)

 

 

<誰でも働き甲斐を求めている>

正社員でもパートでも派遣社員でも・・・誰もが会社に必要なのです。どんなに大きく大切な仕事も、その人が欠けていたら成し遂げられません。

そして、口に出さなくても、誰もが組織に貢献したいと思っています。

「自分がかかわった仕事が誰かの役立っている」と思い、それを働くモチベーションにしている人も少なくないのです。

 

それなのに・・・

現実の職場では、こんな簡単なことが分っていない管理職もまた少なくないのです。

 

管理職の方々の中には、「会社には目標があり、仕事には責任があり、成果を出さなければならない」「指示や命令を守ってもらわないと仕事にならない」という方もおられると思います。それも間違いではありませんが、それだけを言っていても良い組織にならないことは分っていただけると思います。

 

組織が一人ひとりを大切にしているというメッセージは、いたわる・ねぎらう「イタ・ネギ」のある評価でしっかりと伝わることでしょう。

 

 

【最後までお読みいただき、ありがとうございました】

 

 

2021/07/21