私の一番好きなキャリア理論

Vol.6
<「計画的偶発性理論」なんていうと難しそうですが・・・>

 

前々回のブログで、「キャリアは、その8割が「偶然性」によって決まる」と書きましたが、実はこれ私がキャリアコンサルタント資格の受験勉強で学んだ「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」に記されたものです。

 

スタンフォード大学J.Dクランボルツ氏のキャリア理論なのですが、「偶然だ」と言われたら「そりゃあ当り前だ」で終わるところを、一見矛盾した「計画された偶然」という点に興味が引かれて、じっくり読んでみました。

 

そこには、「良い偶然」に出会うためにはただ漫然と待っているのではなく、以下の五つの行動指針を大切にして、「計画的にキャリアを導くことが大事だ」と書かれていたのです。

 

良い偶然に出会うための5つの行動指針

(1)「好奇心」 たえず新しい学習の機会を模索し続けること

(2)「持続性」 失敗に屈せず、努力し続けること

(3)「楽観性」 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること

(4)「柔軟性」 こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること

(5)「冒険心」 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと

(参考:『その幸運は偶然ではないんです!』ダイヤモンド社)

 

これらの中でも、自分に唯一備わっている?と思える「楽観性」が入っていたことに、嬉しさを覚えました。楽観性は、メンタルヘルスにも共通する重要な要素でもあります。

 

将来のことを考えすぎると、不安になってしまうことがあると思っています。

 

昔、私が新入社員研修の責任者を務めていた時、「自分の10年後、20年後、30年後にはどんな社員になっていたいか」を書かせるというプログラムがありました。
私から内容を見直せとまでは言いませんでしたが、何ともモヤモヤした感じを持っていたことを思い出します。
だって、私自身が新人の時にそのような質問を受けたら、「そんな先のことなんて、わかる訳ないじゃないですか・・・」とぶつぶつ心の内で言ったでしょうから。

私だって若い時に将来のことをまったく考えていなかったわけではないのです。

ただ、当時は一日でも早く仕事を覚えて、部署の先輩について行くことで精一杯だったし、何といっても、会社の人と毎日のように飲みに行って、割と楽しく過ごしていたのだと思います。遠い未来ではなく「今、ここ」の中に居たのです。

 

 

 

今の新人は「将来ビジョン」とか「人生の目標」を就活で質問されるので、模範解答を考え過ぎてしまっているのでしょうか。社会人になった時に「今大事にすべきこと」に目が届いていない人が多いように映ります。

その結果、ぼんやりとして見えにくい先のことばかりを考えて、不安感に陥ってしまう人がたくさんいらっしゃるように感じます。実はこれは、メンタル不調に陥る人のありがちなパターンなので、注意してくださいね。

 

将来を考えなくて良いということでは決してないのですが、「今」の行動なくして将来の目標には行きつかない、あくまで「将来」と「今」のバランスが重要なのだと思っています。

 

カウンセリングを行う際は、「今、ここ」を大切にします。

若い人達には、あまり先のことを考え過ぎず、「楽観性」を持って「今、ここ」のステージを楽しみながら、仕事に向き合って欲しいなと願っています。

 

 

【最後までお読みいただき、ありがとうございました】

 

 

2021/09/15