<今の若手社員は、たいへんですよ>
社会に出る前の本来楽しむべき大学生活。半分ちょっと過ごしたところで就職の準備を始め、数十社の面接を受ける人が大半。そのうちの多くから「お祈りメール」を頂戴して否定の嵐を受け、やっと勝ち取った内定をもらったときには燃え尽きてヘロヘロで・・・なんていう新入社員が各社相当数おられるのかもしれません。
最終面接では、燃える瞳に輝く笑顔を振りまいてくれていたのに、翌年の4月1日に会ったら別人のような顔付き・・・なんてことがしばしばありました。
「不安」なことで頭が一杯なのでしょうか。
だいぶ前から「新入社員は3年で3割辞める」ということが、人事担当者の間では半ば常識となっています。欧米並みに「若いうちから転職するのが当たり前の時代が遂に来たか」と覚悟はしていました。
しかし、最近若い人にキャリアカウンセリングをしてみて、よくよく「すぐ辞める新人」のケースを分析すると、会社として「防ぐことができた」のではないかと思うケースがたくさんあることに気付きました。
今日は新人への対応で日々苦労されている現役の人事担当の方々に向けて、少しでも参考になればと書き留めます。
<3年以内に退職しようとする人によくあるタイプ>
キャリア採用の面接では、前職を退職した理由が「ブラック企業だったので」というのもしばしばありますが、よくよく聞くと「本人にも原因がある」と思わざるを得ない人が多くいました。ほんの一部ではありますが、思い出して書いてみます。
・意識高過ぎ系
会社に入って「やりたいこと」の意識は高いのですが、「行動すること」に対する努力は伴っていない人ですね。
仕事に優劣をつけているので、自分が評価していない仕事やそこで働く人に敬意を払えていません。
・優等生系
家族から大切に育てられ、学生時代から優等生だったため、叱られたことがあまりありません。少しの失敗を年長の社員から注意されると、必要以上に自信を喪失してしまいます。
「自分はもっと出来るはずだ」と悩み、職場にいることが辛くなっていきます。
このケースは転職を考える前に、メンタル不調となるケースが多いです。
・必要以上に人と比べてしまう系
自己中なのに変なプライドは高くて、学生時代の仲間の話に自分の現在地を比べてしまい、「自分の居場所はここではない」と考えてしまいます。
「目立つ仕事」「面白そうな仕事」で、自分のキャリアを作ろうとしています。
このようなタイプは前触れなく退職届が提出されてしまい、手の打ちようがないことがありますが、「大きな理由は無いけど、何となく環境を変えてみようかな」という程度の人には歯止めをかけなければなりません。
「早期離職対策」としては、会社によって環境がまちまちなので、これが一番という処方箋は出せません。
但し、一つ言えることは、様々なやり方で「会社が若いみんなのことを大切にしている」ということを「伝える」ことが極めて重要であるということです。
ストレスチェックでは、個人の「ライフスタイル」(「食事」「運動」「睡眠」)を確認できる項目があります。もし皆様が実施しているストレスチェックに「ライフスタイル」の項目があれば、若年層の状況を一度確認してみてはいかがでしょうか。
会社からは「良いライフスタイルは、良いパフォーマンスにつながる」ことを説明するだけでなく、「仲間であるみんなには、心身ともに健康で楽しく仕事をして欲しい」というメッセージを伝えましょう。
「自分は会社から大切にされている」と感じた若手社員は、たとえ仕事に戸惑っていたとしても、「自分を育てようとしてくれている良い会社だな」と感じるはずです。
そんな風に感じた若手は、すぐに環境を変えようとは決してしません。
私の人材育成に関する長年の経験から、これだけは断言できます。
【最後までお読みいただき、ありがとうございました】
2021/09/01