~マタハラという言葉だけで片づけてほしくないこと~
コロナの流行によって、私たちは様々な影響を被ることになってしまいましたが、唯一恩恵かなぁと思うのは、少しでも体調に違和感があれば仕事を休む、在宅勤務に変更するといった考え方が、ある程度広がったことだと思います。私が若い頃は、熱があっても這ってでも出勤するといったことがまかり通っていましたが、もう時代錯誤ですよね。
働く上で体は資本です。無理しすぎない働き方がこの機会に浸透したのは良かったなぁと個人的には感じます。
しかし一方で、いまだ休むことに申し訳なさを感じている方はいらっしゃいます。
最近よく相談の場で耳にするのは、妊娠中や子育て中の女性からの声です。彼女たちはどうしても短い時間でしか働けなかったり、突発的な休みが必要になったりするため、自身の仕事を別の誰かに引き継ぐ必要があります。
ただ、今はどこの企業もあまり余裕がないのでしょう。慢性的な人員不足や人件費削減によって、一人当たりの業務量が増加しているのが現状です。彼女たちもそういった状況がわかるからこそ、自分のせいで皆の負担を増やしてしまうと悩んでしまうようです。
そこで出てくる言葉が「申し訳ない」「皆に迷惑をかける」というもの。妊娠が判明した女性から、「何でこんな忙しい時期に妊娠してしまったのか」「子供を諦めた方が良いのだろうか」と言われた時は、少なからず私自身ショックを受けました。本来なら子供を授かって嬉しいはずなのに素直に喜べないとは。妊娠して申し訳ないなんて言わせてしまう世の中ってダメなんじゃないかと、逆にこっちが申し訳ない気持ちになりました。
確かに、独身者や子供がいない既婚者から、「時短勤務の人が増えた分、残った私たちは連日残業続きでヘトヘトです」「子育て中の人に協力してあげたい気持ちはやまやまだけど、なんで私ばっかりプラ
イベートの時間を犠牲にしないといけないのか」「この前つい妊婦さんの前でため息をついてしまって、そんな自分に罪悪感を覚えます。これってマタハラですかね」といったネガティブな声が届くのも事実です。
ただ、そもそもこれって個人に責任がある話なのでしょうか。違いますよね。女性が働くことが当たり前の時代になった今、これまでの男性主体の会社のやり方では通用しなくなってきたという話なんだと思うのです。
以前、あまりにも独身者や子供を持たない既婚者に負担が偏るため、子育て中の女性にも遅い時間帯や土日の出勤を要請するなど、一定の負荷を負ってもらうような体制に作り直した企業もありました。賛否両論出たようですが、企業も真剣に考えた末の方策だったのかもしれません。
最近面白いなと思った企業の取り組みに、子育て中の女性の1日をVRで疑似体験するというものがありました。終業後、保育園のお迎えに行き、家についたらご飯、お風呂、寝かしつけと、エンドレスで続く状況をVRで経験できるそうです。
他にも、実際に自分が子育て中の人になり切って1か月過ごす、ということをやっている企業もありました。仕事中、子供が熱を出したと連絡が入ると(社内の人が保育園に成り代わって電話をかけてくれるそうです)、なり切り中とはいえ、本当に帰らなきゃいけないルールだそうです。周囲が子育て中の人の大変さを理解するのにも役立ちますし、職場全体の課題も浮き彫りになって、働き方改革に一役買っているようです。
すっきり解決するにはまだ時間が必要そうですが、少しずつでも皆にとって働きやすい職場環境が作っていけると良いですね。
【最後までお読みいただきありがとうございました】
2022/7/13