泣くことは心のデトックス

Vol.22

~トイレにこもる若者たち~

 

「仕事中に泣いてしまうんです」

こんな第一声から話し始めてくれたのは、今年入社したばかりの新入社員のAさんです。

 

「新人研修も終わって、今は先輩に教わりながら仕事をしています。先輩も部の皆も優しくて、困ったことがあったら何でも言ってねと言ってくれます。だから仕事を早く覚えて、自分も皆の役に立ちたいと思っているのに上手くできなくて。昔からあまり要領がよくないんですよね。時々苦しくなってしまって。そんな時はトイレで泣いてます…」

 

先輩や上司の前では元気に振舞っているようで、Aさんが悩んでいることは誰も知らないと言います。「親切にしてもらっているのに、できないなんて言ったら申し訳ない」と、この時もポロポロと泣きながら自分の不甲斐なさを語ってくれました。なんて真面目で優しいのだろう。ちょっと親心が刺激されてしまいました。

 

 

「泣く」ということは、悲しい、寂しい、苦しい、つらい、悔しい、怒り、嬉しい、幸せ、感動といった、様々な感情を表出する手段の一つです。

 

 

泣くこと自体にも効果があり、ストレス解消や気持ちの整理、傷ついた心の修復に役立つともいわれています。実際、あえて泣ける映画を観たり本を読んだり、意識的に泣くことで感情を解放し、ストレス解消につなげることを目的とした「涙活」という活動が流行った時期もありましたね。

 

泣くのは自然な感情表現なので、本来は子供のようにありのままに表に出して良いものなのですが、大人になるとどうしても感情のコントロールが必要になる場面に出くわしてしまいます。

 

その最たる場所が、職場です。

たとえ泣きたくなるような何かが起こっても、職場で泣くなんて社会人としてダメだと、どこかで理性が働くのでしょう。グッと我慢してやり過ごしているうちに、ある日突然、処理しきれなくなった想いが涙となって溢れ、慌ててトイレに駆け込む。そんな経験をした方、意外といらっしゃるのではないでしょうか。

かくいう私も、若いころ経験があります…。

 

カウンセラー的には涙を流してくれた方が、「やっと感情が外に出せたな」と思って少し安心するのですが(感情を抑え込みすぎるのは、メンタル的にあまりよろしくありません)、それは相談室という守られた場所だからできることかもしれません。本人が周囲にバレないように隠しているとなると、先輩や上司は悩んでいることになかなか気づいてあげられないですよね。

 

何か気づけるヒントはあるのでしょうか。

 

よく言われるのは、些細なミスが増えてきた時。ストレスによって脳が疲弊し、判断力や記憶力、集中力が低下している証拠です。

今は皆マスクをしているので、表情から読み取るのは少し難しいですが、視線が合わない、よく下を向いているなど、目元や姿勢で気づける時もあれば、話すスピードが遅いとか、変に間があくなど、声や話し方に変化が出ることもあります。

 

ほんのちょっとの違和感かもしれませんが、あながち人の直感はあなどれません。あれ?と思った時に声をかけてあげられると良さそうです。

 

 

昔は親が高校野球を観て泣いている意味が全く分かりませんでしたが、今はその意味がわかる年齢に私もなりました。ちょっとしたことで目頭が熱くなりがちですが、その都度自分の感情を解き放ってあげていると思うと、涙もろいのも悪くはないなぁと思います。

涙を流すことに抵抗がある方もいるかもしれませんが、つらい時はちゃんと泣いてあげた方が良い場合も多いです。ただそういう時はトイレではなく、相談室を利用してくれたら嬉しいです。

 

【最後までお読みいただきありがとうございました】

 

 

 

2022/6/29