パワハラ・ロックオンに注意する その1

VOL.8

今回は後半に、弊社で活躍するプロが相談対応や活動をする際に、考えていることや想いをUPしております。第2回目、ぜひご覧ください!

 

〈パワハラ・ロックオンとは〉

 

パワハラをしようと思ってパワハラをする上司はいません。

成果を上げるために懸命に仕事に取り組んできたが、

いつのまにか指導がパワハラになってしまったというのが、

筆者が接してきたケースの多くです。

 

しかし、理由はどうであれパワハラを肯定することはできません。

パワハラをしたという事実が問題となることを認識し、

パワハラをしない意識と行動を心掛けることが大切です。

 

では、行き過ぎた指導でパワハララインをまたがないように

するにはどうしたらいいでしょうか。

 

パワハラには、「一線を超える」前兆、前段階があります。

これをいち早く察知できれば、パワハラを防ぐことができます。

その前段階とは、特定の人に注意力が集中してしまう

「ロックオン」状態を指します。

 

平常時の上司は、指導の対象となる部下を均等に観察しているため、

部下に対する注意力は分散していて、 1 人ひとりの部下の

細かい部分には気づきにくい状態にあります。

 

ところが、ある部下の態度や行動の問題に気づくと、

その部下のことが目につくようになります。

それまで分散していた注意力が1人の部下に集中します。

すると、その部下のネガティブな情報を無意識に探すようになり、

これまで気づかなかった部下の態度や

行動の細かい問題にも気づきやすくなります。

 

注意を向けた対象が意識化される

――心理学では、「選択的注意」といいます。

いったん部下のマイナス面が目につくと、

マイナスの情報ばかりに注意が向くようになり、

あたかもその部下がマイナスなことばかりをしているように

見えてしまうのです。

 

その部下にもプラスの面はあるはずですが、

そういうところは目に入りません。プラスの情報が

もたらされても、気に留めずにスルーしてしまいます。

 

やがて、上司はロックオンしている部下に対して

ネガティブな感情が表出し、ストレスが溜まります。

それらがマイナスエネルギーとなって蓄積されます。

マイナスエネルギーは溜め続けることができません。

上司のストレス耐性を超えたとき自動放出されます。

その放出されたマイナスエネルギーがマイナスの行動を

引き起こす……これがパワハラのからくりです。

 


 

ここからは、ウェルリンクで活躍するプロ(カウンセラー・コンサルタント・研修講師)が、日々のさまざまな対応を通して考えていることや想いをお届けします。

 

<その2 宮川 哲幸>

企業在籍中に部下の話をしっかりと聴きたいとの思いから、産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格を取得。管理職として職務に活かし、また、日常的な現場管理を実践し、集合研修で管理手法を教えるなど経験を積む。その後、人事部にて社内研修の企画、運営、講師に。ハラスメント防止に関するコンサルティングを得意とする。

 

 

 

 

パワハラ相談件数のうち、2番目に多い「人間関係からの切離し」です。

「切離し」とは『無視をする』ということですが、無視とは、存在価値を認めないこと、あるものをないがごとくみなすこと、という意味です。(weblio辞典より)

 

本当に無視をしたのか、ただ気が付かなかっただけなのか、もしそれが意図的な行為であれば、その程度や頻度、期間、それと何人から受けているのかで、本人が受けるダメージにも差が出ることでしょう。

 

職場での無視は表面化しにくいうえに、仕事にも支障をきたすこともあります。そのような状況になってしまったら、まずは周囲の人や上司に相談をすることが大事です。

上司の方が相談を受けた場合、相談者の話をしっかりと受け止めて欲しいと思います。どんな内容であっても、相談者は勇気をもって相談してくれたはずですからね。

 

その後、聞き取り調査等をしても行為が明らかになるとは限りませんが、上司の方は相談者を見守り続け、職場の環境変化に気づき、改善をしていただきたいと思います。

それから、辛い思いをされている方は、必要以上に自分を責めたり、我慢しすぎたりしないようにしてください。まずは自分を護ることが第一の仕事ですから。

 

 

2022/5/13