カウンセラーのメンタルケア

Vol.19
~自分にとっての不調のサインとは?~

 

この仕事をしていると、「心澤さんは、メンタルを整えるために普段どんなことをしていますか」と聞かれることがあります。メンタルケアを仕事にしているのだから、さぞかし特別なことをやっているに違いないと期待されているのかもしれませんが、そんなことはありません。やっていることは、いたってシンプル。食事・睡眠・運動といった基本的な生活習慣に普段から気をつけておくこと、そして後は、自分なりのリフレッシュの時間(私の場合は、料理を作って美味しく食べること。最近はお取り寄せも楽しんでいますよ)をたくさん作ることぐらいでしょうか。

 

強いて言うなら、「今日はちょっと疲れたなぁ」という自分の体からのサインに、早めに気づく習慣はついているかもしれません。

 

メンタル不調の悪化を防ぐには、早期発見・早期治療が鉄則です。しかし、メンタルを理由に休職される方のほとんどは、この早期発見・早期治療がどうやらできていないようなのです。

 

「最近、首や肩がよく凝るなぁ。PCの使いすぎかなぁ」

「はぁ~今日も仕事かぁ、だるいなぁ」

「お風呂に入るのが面倒くさいなぁ、明日の朝シャワー浴びればいいか」

 

これらも立派な不調のサインなのですが、気づかない、あるいは気づいてもこれくらい大したことではないと思い、「まだ大丈夫」「もう少し頑張ろう」と自分に言い聞かせながら働いている。そのうち、眠れなくなり、ご飯も食べられなくなり、最終的には体も心も限界を迎えて休職に至る、というパターンがなんと多いことか。

 

「どうしてそんなにしんどくなるまで我慢したの?」と聞くと、「仕事だからやらなきゃと思った」とか、「自分が甘えているだけだと思った」といった返事がよく返ってきます。責任感が強くて、頑張り屋さんなのだと思うけれど、体を壊してまで働いていては元も子もありません。自分でSOSのサインを出してくれれば手の貸しようもあるのですが、なかなかそうもいかず、人事に連絡がきた頃には、時すでに遅し…なんてこともしばしば。悩ましいところですね。

 

だからこそ、ちょっとした不調を感じてカウンセリングにきてくれた方には、それは体からのSOSのサインであることをまず自覚してもらい、生活習慣の見直しや、疲労回復に努めるよう助言します。また、それと並行して、上司や同僚に今の自分の状態を伝え、手助けしてもらえる環境を作るようにも促します。

 

こういったサポートを普段からやっているからでしょうか、私に限らずカウンセラーという職業の人は、ちょっとした自分の体調の変化に敏感な人が多いように思います。その上、気づいたらすぐ対処するということが自然と身についているので、疲労やストレスを極力翌日に持ち越さずにすんでいるのかもしれません。
不調のサインが出る場所は人それぞれ違います。痛みや疲労感といった体に症状が出る人もいれば、憂鬱な気分やイライラ感といった心に症状が出る人もいます。自分にとって何が不調のサインになるのかわかっているだけでも、メンタルの悪化を防ぐ手立てにはなるので、ストレスチェックなども活用しながら、皆さんにもぜひ意識してもらいたいなぁと思います。忙しいと、自分のことがついないがしろになりがちですが、自分の体は一つしかありません。大切に扱ってあげたいものですね。

 

【最後までお読みいただきありがとうございました】

 

2022/04/27